不動産契約の前に必ず行われる「重要事項説明」、なんだか専門用語ばっかりで難しそう…って思っていませんか? 「そもそも何のためにやるの?」「誰が説明するの?」「いつ、どこで聞かなきゃいけないの?」「説明される内容が多すぎて、何が重要なのか分からない!」…宅建の勉強をしていると、そんな疑問や不安で頭がパンクしそうになりますよね!
でも大丈夫! この重要事項説明、通称「重説(じゅうせつ)」は、宅建士にとって最も重要な仕事の一つであり、試験でも頻出の超重要テーマなんです! ここをしっかり理解することが、合格への大きな一歩になりますよ。
今回は、この重要事項説明(宅建業法35条に基づく書面、だから「35条書面」とも呼ばれます!)について、その目的から基本ルール、ITを使った説明方法、膨大な説明内容の攻略法、そして注意点まで、余すところなく徹底的に解説しちゃいます!

重説は宅建士の腕の見せ所! そして試験のヤマ場でもあります! 今日は皆さんの疑問をスッキリ解消しますよ!
この記事でわかること
- 重要事項説明がなぜ不動産取引で不可欠なのか、その目的
- 重説を行う上での基本的なルール(誰が、いつ、どこで、誰に、どうやって)
- 便利なIT重説の条件とポイント
- 膨大な説明項目を効率よく覚えるためのヒント(37条書面との比較)
- 取引の種類(売買・賃貸など)による説明内容の違い
- 特に押さえておくべき重要説明事項のピックアップ解説
まずは基本!重要事項説明(重説)って何のためにするの?
不安な買主・借主を守る!重説の目的と宅建士の役割
そもそも、なんでこんなに時間をかけて、難しい内容の説明をする必要があるんでしょうか?
それは、不動産取引には「情報の格差」が大きく存在するからです。
家を買ったり借りたりする一般の人(買主・借主)は、不動産に関する専門知識や、その物件に関する細かい情報を十分に持っていません。一方で、不動産を売ったり貸したりする側、特に仲介に入る宅建業者は、専門知識も物件情報も豊富に持っています。
もし、この情報格差があるまま契約してしまうと、買主さんや借主さんは、後になって「え、聞いてないよ!」「こんなはずじゃなかった!」と、予期せぬトラブルや大きな損害を被ってしまう可能性がありますよね。
そこで、契約を結ぶ前に、取引の判断に影響するような重要な情報を、専門家である宅建士が責任をもって、買主さんや借主さんに分かりやすく説明する。これが「重要事項説明」の最大の目的なんです! まさに、知識の少ない消費者を保護するための、とっても大切な制度なんですね。
そして、この重要事項説明は、宅地建物取引士(宅建士)しか行うことができない「独占業務」とされています。だからこそ、宅建士には重い責任があるし、試験でも重要視されるわけです!
いつ、どこで、誰に?重説の基本ルール5箇条!
では、具体的にどんなルールで重説は行われるのでしょうか? 基本的なルールを5つのポイントにまとめました!
- 誰が説明する?(説明義務者)
- 宅地建物取引士(宅建士)です。
- 会社(宅建業者)の代表者や、ただの従業員ではダメ! 必ず宅建士の資格を持った人が説明しなければなりません。
- ただし、その事務所に必ずいる「専任」の宅建士である必要はありません。非常勤の宅建士でもOKです。
- いつ説明する?(説明時期)
- 契約が成立するより前のタイミングで行います。
- 説明を聞いて「うーん、やっぱりこの条件じゃ契約できないな」と考え直す時間を与えるためですね。契約した後じゃ意味がありません!
- どこで説明する?(説明場所)
- 法律上の制限はありません! どこでもOKです。
- 宅建業者の事務所はもちろん、買主・借主の自宅、喫茶店、なんなら公園のベンチだって法律上は問題ありません。(実際には落ち着いて話せる場所が選ばれますけどね!)
- 誰に説明する?(説明すべき相手)
- ここ、注意が必要です! 取引の種類によって相手が変わります。
- 売買の場合 → 買主のみ
- 貸借(賃貸)の場合 → 借主のみ
- 交換の場合 → 両当事者
- <ポイント>
- 売主さんや貸主さんには、原則として重説をする必要はありません! (※ただし、宅建業者が自ら売主となる場合などは、その業者も買主に対して重説義務を負います)
- さらに! 説明を受ける相手(買主や借主)が宅建業者である場合は、プロ同士なので説明は不要とされています。書面の交付だけでOKです。
- ここ、注意が必要です! 取引の種類によって相手が変わります。
- どうやって説明する?(説明方法)
- 以下の2ステップが必須です!
- ① 宅建士が記名した重要事項説明書(35条書面)を相手に交付する。
- ② 交付した書面に基づいて、宅建士が「宅建士証」を相手に提示しながら、口頭で説明する。
- <チェック>
- 以前は書面への「押印」も必要でしたが、法改正で押印は不要になりました! 記名だけでOKです。
- 宅建士証の提示は、相手から「見せてください」と請求されなくても、必ずしなければなりません! これを怠るとルール違反です!
- 以下の2ステップが必須です!
自宅で受けられる!IT重説の条件とポイント
最近では、わざわざ対面しなくても、パソコンやスマホの画面越しに重要事項説明を受けられる「IT重説」も可能になっています! 特に遠方の物件取引や、忙しい方にとってはすごく便利ですよね。
このIT重説は、賃貸借取引だけでなく、売買取引でも利用可能です。ただし、実施するには以下の要件を全て満たす必要があります。
- 双方向でやりとりできるIT環境があること:
- 説明する側(宅建士)とされる側(お客さん)の映像と音声が、お互いにしっかり認識できる状態であること。途切れたり、聞き取りにくかったりするのはNGです。
- 事前に書面が送付されていること:
- 宅建士が記名した重要事項説明書(35条書面)や添付書類を、あらかじめお客さんの手元に送っておく必要があります。説明を聞きながら、手元の書面を確認できるようにするためですね。
- 説明開始前にお客さんの状況を確認すること:
- 説明を始める前に、宅建士がお客さんに対して「お手元の書面は確認できますか?」「映像や音声は問題なく届いていますか?」と確認する必要があります。
- 画面上で宅建士証を確認してもらうこと:
- 対面と同様、宅建士証を提示する必要がありますが、IT重説の場合は画面越しになります。お客さんが画面上で宅建士証をきちんと確認できたことを、宅建士が確認する必要があります。
IT重説のメリット・デメリット
- IT重説のメリット: 場所を選ばず説明を受けられる(交通費・時間の節約)、遠隔地の取引がしやすい、感染症対策になる。
- IT重説のデメリット: 安定した通信環境やIT機器が必要、画面越しだと細かいニュアンスが伝わりにくい可能性、その場で書類への書き込みができない。

IT重説、すごく便利ですよね! でも、ちゃんとルールを守って、お互いの顔が見えて、声が聞こえる状態でやらないと意味がないんです!
重説(35条書面)の内容を効率よく攻略する方法
さて、ここからが本番! 重要事項説明で説明しなければならない項目は、宅建業法で細かく定められているんですが…これが本当に多い!! テキストを見ると、ずらーっと長いリストが並んでいて、正直うんざりしちゃいますよね…。
全部丸暗記は無理!効果的な覚え方のヒント
この膨大な説明項目を、一字一句、完璧に丸暗記しようとするのは、はっきり言って無謀です! 時間がかかる割に、得られる点数は限られています(多くても1〜2点)。
そこでおすすめなのが、「比較して覚える」という戦略! 何と比較するかというと、契約が成立した後に交付される「契約書(37条書面)」です。
35条書面(重説)と37条書面(契約書)には、記載される内容に共通する部分も多いのですが、片方にしか書かれない項目もあるんです。特に、
「37条書面(契約書)には必ず記載しなければならないけれど、35条書面(重説)では説明する必要がないもの」
これを先に覚えてしまうのが、効率的な攻略法! 具体的には、以下のたった3つです!
- 登記申請の時期 (いつまでに所有権移転登記をするか、など)
- (売買代金・交換差金・借賃の)額、支払方法、支払時期 (※「額」と「目的」は重説でも説明しますが、「支払方法」「支払時期」は契約書のみ)
- (宅地または建物の)引渡時期 (いつ物件を引き渡すか)

どうですか? たった3つなら覚えられそうじゃないですか? まずはこの3つを「これは契約書だけの話!」としっかりインプットしましょう。これだけで、選択肢問題などでかなり有利になりますよ!
取引タイプで違う!売買・交換・賃貸での主な違いをチェック
次に厄介なのが、説明すべき内容が、取引の形態(売買なのか、賃貸なのか、など)によって微妙に違うこと。これも全てを網羅するのは大変なので、ここでは主な違いのポイントだけ押さえましょう!
【売買・交換のみで説明が必要な主な事項】
- 契約不適合責任(昔でいう瑕疵担保責任)の履行に関する保証保険契約等の内容: もし物件に欠陥があった場合の保険や保証についてですね。
- 割賦販売の場合の現金販売価格や賦払金の額・支払時期など: ローンで買う場合の詳細。
- 住宅性能評価を受けた新築住宅であるときはその旨: これは「建物」の売買・交換の場合だけです。
【区分所有建物(マンション)の売買・交換のみで説明が必要な主な事項】
マンション一室の売買・交換は、さらに特殊な説明事項が増えます。
- 敷地に関する権利の種類および内容: 土地の権利が所有権なのか、借地権なのか、など。
- 共用部分(廊下やエレベーターなど)に関する規約(案も含む): マンション全体のルール。
- 専有部分(自分の部屋)の用途その他の利用の制限に関する規約(案も含む): ペット禁止とか、事務所利用禁止とか。
- 専用使用権(駐車場やルーフバルコニーなど)に関する規約(案も含む): 特定の人だけが使える部分のルール。
- 管理費や修繕積立金に関する規約(案も含む)、既に積み立てられている額: お金のルールは超重要!
- 管理の委託先: 管理会社はどこか、など。
【賃貸借(貸借)のみで説明が必要な主な事項】
- 敷金その他契約終了時に精算される金銭に関する事項: 敷金がいくらで、どうやって返ってくるのか。
- 台所、浴室、便所その他の当該建物設備の整備状況: キッチンやお風呂、トイレなどの設備がどうなっているか。賃貸では生活に直結するので重要ですね。
「私道に関する負担」についての説明は、売買・交換、宅地の賃貸借では必要ですが、「建物の賃貸借」の場合だけは説明不要です! これも細かいですが、よく問われるひっかけポイント!
売買・交換・賃貸での説明事項比較(主要項目のみ)
説明事項 | 売買・交換 | 宅地の賃貸借 | 建物の賃貸借 |
契約不適合責任の保証保険等 | ○ | × | × |
住宅性能評価(新築建物) | ○ | × | × |
敷金等の精算 | × | × | ○ |
建物設備の整備状況 | × | × | ○ |
私道に関する負担 | ○ | ○ | × |
代金・交換差金・借賃「以外」の金銭 | ○ | ○ | ○ |
法令上の制限(建ぺい率等) | ○ | ○ | × |
※上記は一部抜粋です。正確な内容は必ずテキスト等でご確認ください。
これだけは押さえたい!頻出の重要説明事項ピックアップ解説
説明事項リストは本当に長いので、ここでは特に試験でよく問われる、または理解が難しい重要項目をいくつかピックアップして、簡単に解説しますね!
- 登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人等:
- その不動産にどんな権利(所有権、抵当権、地上権など)が登記されていて、誰の名前で登記されているか、という基本情報です。権利関係はトラブルの元なので超重要!
- 法令上の制限(都市計画法、建築基準法など):
- その土地や建物に、法律によってどんな制限がかかっているか、という説明です。例えば、「用途地域」によって建てられる建物の種類が決まっていたり、「建ぺい率・容積率」で建物の大きさが制限されたりします。これは取引の種類によって説明すべき内容が変わるので注意!(例:建ぺい率・容積率は建物の賃貸借では説明不要)
- 私道に関する負担:
- その土地に接している道路が私道の場合、通行や掘削に関する制限、維持管理の費用負担などがどうなっているか、という説明です。(建物の賃貸借では不要!)
- 飲用水、電気、ガスの供給施設・排水施設の整備状況:
- いわゆるライフラインですね。水道、電気、ガス、下水がちゃんと整備されているか。もし整備されていない場合は、将来の見通しや、整備する場合の特別な費用負担についても説明が必要です。
- 区分所有建物(マンション)に関する事項:
- 上記「取引タイプで違う!」で挙げた項目(管理費、修繕積立金、規約、管理会社など)は、マンション取引では必須の説明事項です。特に修繕積立金の額や滞納状況は要チェック!
- 建物状況調査(インスペクション)の結果の概要(中古建物の場合):
- 中古住宅の場合、専門家による建物の健康診断(インスペクション)が行われているか、行われている場合はその結果の概要を説明します。(実施後一定期間内のものに限る)
- 設計図書等の保存状況(中古建物の場合):
- 建物の建築やメンテナンスに関する図面や記録が保存されているかどうかも説明事項です。
- 代金、交換差金及び借賃以外に授受される金銭の額及び授受の目的:
- 手付金や敷金など、売買代金や家賃「以外」にやり取りされるお金について、その金額と「何のためのお金なのか」を説明します。
- 手付金等の保全措置の概要:
- 宅建業者が買主から手付金などを受け取る場合、万が一業者が倒産しても手付金が返ってくるように、銀行保証などの保全措置を講じる義務があります(一定の条件あり)。その措置の内容を説明します。
- 支払金又は預り金の保全措置の概要:
- 上記の手付金等とは別に、一時的に預かるお金(登記費用とか)についても、保全措置を講じるか、講じる場合はその概要を説明します。(少額の場合や報酬などは対象外)
- 代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあっせん(ローンあっせん):
- 住宅ローンなどの紹介(あっせん)をする場合、そのローンの内容や、もしローンが借りられなかった場合に契約をどうするか(白紙解除できるかなど)を説明します。
- 契約不適合責任の履行に関する措置の概要:
- 物件に契約内容と違う欠陥があった場合に、売主が責任を負うための措置(保証保険への加入など)を講じるか、講じる場合はその概要を説明します。
ここに挙げたのはほんの一部! 全ての項目を覚えるのは大変ですが、過去問でよく出る項目や、自分が苦手な項目を中心に、テキストや参考書でしっかり確認してくださいね!
より良い重説のために!知っておきたい留意点
最後に、法律で定められたルールとは別に、より良い重要事項説明を行うために、宅建業者や宅建士に求められている姿勢や、望ましいとされている点について触れておきましょう。これは直接試験に出るわけではありませんが、宅建士を目指す上で大切な心構えです。
説明を受ける人のためにできること
- 全体像の提示: 説明を始める前に、「これからこんな内容を説明しますよ」という全体の構成や、特に注意して聞いてほしい点を書面などで示してあげると、聞く側は理解しやすくなります。
- 最低限であることの認識: 法律で定められた説明事項は、あくまで「最低限これだけは説明しなさい」というものです。ケースによっては、これ以外にも買主・借主の判断に影響する重要な事柄があれば、積極的に説明すべき、とされています。
- 分かりやすい場面での説明: 例えば、物件の状況に関する説明は、可能であれば実際に物件を見ながら(現地で)説明する方が、相手の理解は深まりますよね。ただし、その場合でも、契約までには改めて宅建士が全体を通して説明する必要があります。
まとめ
重要事項説明(35条書面)、その重要性と複雑さ、そして攻略のポイント、掴んでいただけましたか?
不動産取引における情報格差を埋め、消費者を保護するための重説は、宅建士の責任ある独占業務です。基本ルール(宅建士が、契約前に、買主・借主等に、書面交付+宅建士証提示で説明)をしっかり押さえ、IT重説の要件も理解しておきましょう。
膨大な説明項目は、37条書面(契約書)との比較で効率よく覚え、取引タイプによる違い(特に売買・賃貸・マンション・中古)と、頻出項目(登記、法令制限、ライフライン、お金関連、契約不適合責任など)を重点的に学習するのがおすすめです!
- 重説の目的: 消費者保護(情報格差の解消)
- 基本ルール: 宅建士が / 契約前に / どこでも / 買主・借主等に / 記名書面交付+宅建士証提示で説明!
- IT重説: 賃貸も売買もOK! 事前書面送付や双方の環境確認などが要件。
- 内容攻略法: 「37条書面のみ記載事項(登記申請時期、支払方法・時期、引渡時期)」を覚える! 取引タイプ別の違い、頻出項目を重点的に!
- 主な注意点: 相手が業者なら説明不要、押印は不要、宅建士証提示は必須! 私道負担は建物の賃貸借のみ説明不要!
重説は宅建試験の最重要テーマの一つ。難しい部分もありますが、ここを乗り越えれば合格がぐっと近づきます! 諦めずに、一つ一つ確実に理解を積み重ねていきましょう!

重説、完全マスター目指して頑張りましょう! 分からないことがあれば、いつでも聞いてくださいね!