【宅建士】37条書面(契約書)の交付ルールと記載事項をマスター!完全解説

宅建業法

重要事項説明(35条書面)が無事に終わって、いよいよ不動産の契約! その時に必ずと言っていいほど登場するのが「契約書」ですよね。でも、この契約書、「ただの契約書」じゃないって知ってましたか? 実はこれも宅建業法でしっかりルールが定められている「37条書面」という、とっても大事な書類なんです!

「え、35条書面と何が違うの?」「これも宅建士が説明してくれるの?」「誰のサインが必要なの?」「もし相手が不動産屋さんでも、渡さなきゃいけないの?」…などなど、35条書面との違いや細かいルールがごっちゃになって、混乱していませんか?

今回は、契約の総仕上げとも言える「37条書面(契約書)」について、その交付ルールから記載されている内容、そして試験対策として超重要な「35条書面との違い」まで、スッキリ分かりやすく解説していきますよ!

AYUMI
AYUMI

35条書面と37条書面、名前も似ててややこしいですよね! でも大丈夫、違いをしっかり押さえれば怖くありません!

この記事でわかること
  • 37条書面(契約書)がなぜ必要なのか、その役割
  • 37条書面の交付に関する基本ルール(いつ、誰が、誰に、どうやって)
  • 重要事項説明書(35条書面)との決定的な違い
  • 37条書面に必ず書かれること、定めがあれば書かれること(記載事項)
  • 試験対策に役立つ! 37条書面だけの記載事項の覚え方

契約の総仕上げ!37条書面(契約書)のキホン

37条書面って何?その役割とタイミング

まず、37条書面って、どんな役割を持っているんでしょうか?

これは、重要事項説明(35条書面)を受けて、買主さん・借主さんが納得し、「よし、この条件で契約しよう!」と合意に至った内容を、最終的に確定させて、証拠として残すための書面です。まさに、契約内容の総まとめであり、契約が成立したことの証明書とも言えますね。

交付されるタイミングも重要です。重要事項説明(35条書面)が「契約成立前」に行われるのに対して、37条書面(契約書)は、「契約が成立した後、遅滞なく」交付されることになっています。順番が逆なので、しっかり区別しましょう!

交付ルールを徹底チェック!35条書面との違いは?

37条書面の交付ルールは、35条書面と似ているようで、実は決定的に違う点がいくつもあります! ここは試験で本当に頻出なので、比較しながら確実に覚えましょう!

35条書面(重要事項説明書)と37条書面(契約書)の比較表

項目35条書面(重要事項説明書)37条書面(契約書)ポイント
交付時期契約成立前契約成立後、遅滞なくタイミングが真逆! これ絶対!
交付義務者宅建業者宅建業者交付義務はどちらも業者
記名(・押印)宅建士宅建士どちらも宅建士の記名が必要! (※1)
説明義務宅建士による説明義務あり!説明義務なし!37条書面は説明不要! (※2)
交付相手買主・借主等(相手が業者の場合省略可契約の両当事者!(相手が業者でも省略不可!)37条書面は相手が業者でも絶対に交付!

(※1) 記名について:以前は「記名押印」が必要でしたが、法改正により押印は原則不要となり、「記名」のみでOKになりました。ただし、記名するのは必ず宅建士です!

(※2) 説明義務について:法律上の説明義務はありませんが、実務上は契約内容について担当者が説明することが一般的です。説明者自体は宅建士でなくても構いません。

特に注意すべき違い
  • ① 交付時期が真逆!
    • 35条書面は「契約前」、37条書面は「契約後」。これは基本中の基本!
  • ② 説明義務の有無が違う!
    • 35条書面は宅建士による説明が必須ですが、37条書面は法律上の説明義務はありません。交付するだけでOKなんです。(もちろん、普通は説明しますが!)
  • ③ 交付相手のルールが違う!
    • 35条書面は、説明を受ける相手が宅建業者なら説明も交付も省略できましたが、37条書面は、契約の相手方がたとえ宅建業者であっても、絶対に交付を省略できません! 契約の当事者双方(売主と買主、貸主と借主など)に、必ず交付する必要があります。

この3つの違い、「交付時期」「説明義務の有無」「交付相手(省略不可)」は、試験で繰り返し問われる超重要ポイントです! 何度も確認して、完璧にマスターしてくださいね!

「契約書」と「37条書面」って別物なの?

ところで、「不動産売買契約書」とか「賃貸借契約書」っていう一般的な「契約書」と、宅建業法でいう「37条書面」って、全く同じものなのでしょうか?

実は、少しニュアンスが違います。

  • 一般的な「契約書」: 契約当事者が合意した内容を書いたもので、極端な話、「AさんがBさんに土地を1000万円で売る」という最低限の合意だけでも契約書として成立します。記載内容は比較的自由です。
  • 「37条書面」: 宅建業法第37条で、「こういう事項を必ず記載しなさい」と定められた要件を満たす書面のことです。

つまり、どんな契約書でも自動的に37条書面になるわけではなく、37条で定められた記載事項がちゃんと網羅されていて、宅建士の記名など、他の要件も満たして初めて「37条書面」と認められるわけです。

じゃあ、実務では「契約書」と「37条書面」を別々に2通作るのかというと…?

答えはNOです!

そんな面倒なことはせず、一般的な不動産の売買契約書や賃貸借契約書を作成する際に、最初から宅建業法37条で定められた記載事項を全て盛り込んで作成し、それを「契約書 兼 37条書面」として交付するのが、ほとんどのケースです。

国土交通省のガイドライン(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)でも、「37条に掲げる事項が記載された契約書であれば、当該契約書をもってこの書面とすることができる」とされています。

AYUMI
AYUMI

なるほど! 私たちが普段目にする分厚い不動産の契約書は、単なる契約内容の合意書というだけでなく、宅建業法の『37条書面』としてのルールもクリアするように作られているんですね!


何が書いてある?37条書面の記載事項を分類して理解!

では、その37条書面(契約書)には、具体的にどんなことが書かれているのでしょうか? 記載事項は、「必ず記載しなければならない事項(必要的記載事項)」と、「当事者間で特別な取り決め(定め)があれば記載しなければならない事項(任意的記載事項)」の2種類に分かれます。

絶対に書かなきゃダメ!必要的記載事項リスト

こちらは、どんな契約であっても(定めがなくても)必ず記載しなければならない項目です。

  1. 当事者の氏名(法人の場合は名称)及び住所: 誰と誰の契約なのか、基本情報ですね。
  2. 当該宅地又は建物を特定するために必要な表示: どの不動産についての契約か分かるように、所在地や地番、家屋番号などで具体的に特定します。(35条書面と共通)
  3. 宅地又は建物の引渡しの時期: いつ物件を引き渡すのか、具体的な日付や時期を記載します。
    • <ポイント> これは37条書面のみの必要的記載事項! 35条書面(重説)では説明不要でしたね!
  4. 移転登記の申請の時期(売買・交換の場合のみ): 所有権移転などの登記をいつ申請するのかを記載します。賃貸借の場合は不要です。
    • <ポイント> これも37条書面のみの必要的記載事項!
  5. 代金若しくは交換差金の額並びにその支払の時期及び方法(売買・交換の場合)/借賃の額並びにその支払の時期及び方法(賃貸借の場合):
    • いくらを、いつ、どのように支払うのか。契約の根幹に関わる重要事項です。
    • <ポイント> 「支払の時期」と「支払の方法」は37条書面のみの必要的記載事項! (「額」自体は35条書面でも説明します)
  6. (既存建物=中古建物の場合のみ)建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項:
    • 中古住宅の売買や交換の場合、建物の柱や壁、雨漏りの状況などについて、売主・買主双方がどんな状況かを確認し合ったか、その内容を記載します。これはインスペクションの結果などに基づいて確認されることが多いですね。(比較的新しいルールです!)

特約があれば記載!任意的記載事項リスト

こちらは、当事者間で特別な取り決め(特約)をした場合にのみ、記載しなければならない項目です。定めがなければ記載する必要はありません。

  1. 代金、交換差金及び借賃以外の金銭の授受に関する定めがあるときは、その額並びに当該金銭の授受の時期及び目的: 手付金や敷金などですね。いくらを、いつ、何のためにやり取りするかを記載します。(35条書面でも説明が必要な項目です)
  2. 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容: どんな場合に契約を解除できるか、手付解除や違約解除などのルールを記載します。(35条書面でも説明が必要)
  3. 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容: もし契約違反があった場合のペナルティ(賠償金や違約金)について、あらかじめ金額を決めておく場合のルールです。(35条書面でも説明が必要)
  4. 天災その他不可抗力による損害の負担(=危険負担)に関する定めがあるときは、その内容: 地震や台風などで、引渡し前に物件が壊れてしまった場合に、その損害を売主・買主のどちらが負担するか、というルールです。(民法改正で内容が変わった部分ですね!)
  5. 当該宅地若しくは建物の種類若しくは品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任(=契約不適合責任)又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めがあるときは、その内容: いわゆる「契約不適合責任(昔の瑕疵担保責任)」について、どんな場合にどんな責任を負うか、保証や保険はどうするか、といったルールです。(35条書面でも履行措置については説明が必要)
  6. 租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容: 固定資産税や都市計画税などを、引渡し日を基準に売主と買主でどのように分担(日割り精算)するか、といったルールです。
  7. 代金又は交換差金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合において、当該金銭の貸借が成立しないときの措置: 住宅ローンを利用する場合で、もしローン審査に通らなかったときに、契約を白紙解除できる(ローン特約)といったルールです。(35条書面でも説明が必要)

任意的記載事項とは言っても、実際の不動産契約書には、これらの項目(特に解除、損害賠償、契約不適合責任、ローン特約など)は、トラブル防止のためにほとんどの場合で具体的に定められています。なので、任意的だからといって軽視せず、しっかり内容を確認することが大切ですよ!

試験対策の最重要ポイント!「37条書面のみ」の記載事項を再確認!

さあ、ここで試験対策として最も重要なポイントをもう一度おさらいしましょう! 35条書面(重説)の内容と混同しないように、「37条書面(契約書)には絶対に書くけど、35条書面(重説)では説明しなくてよかったもの」は何でしたっけ?

そう、以下の3つでしたね!

  • 移転登記の申請の時期 (売買・交換のみ)
  • 代金・交換差金・借賃の支払の時期及び方法
  • 引渡しの時期

この3つに共通するのは、「契約が成立した後の、具体的な手続きや実行時期に関するもの」というイメージです。

  • いつ登記するの?
  • いつ、どうやってお金払うの?
  • いつ物件引き渡すの? といった、契約後のアクションに関わることは37条書面(契約書)で確定させる、と考えると覚えやすいかもしれませんね!

逆に、契約解除のルールや損害賠償の予定、ローン特約などは、契約を結ぶかどうかの判断に影響する重要な条件なので、35条書面(重説)でも説明が必要(任意的記載事項としては37条書面にも記載される)という違いも意識できると、さらに理解が深まりますよ!


まとめ

契約の最終的な内容を記す、37条書面(契約書)。その役割とルール、そして35条書面との違いはクリアになりましたか?

37条書面は、契約成立後、遅滞なく宅建業者契約の両当事者(相手が業者でも省略不可!)に交付する義務があり、宅建士の記名が必要です。ただし、説明義務はありません

記載事項には必要的記載事項(必ず書く:当事者、物件、引渡時期、登記申請時期、代金等の額・支払時期・方法、中古建物の状況確認事項)と、任意的記載事項(定めがあれば書く:手付金、解除、損賠償、危険負担、契約不適合責任、公租公課、ローン特約など)があります。

そして、試験対策で最も重要なのは、35条書面との違い!

  • 交付時期: 35条=契約前、37条=契約後
  • 説明義務: 35条=あり、37条=なし
  • 交付相手: 35条=買主・借主等(業者間省略可)、37条=両当事者(省略不可!)
  • 記載事項: 「登記申請時期」「支払時期・方法」「引渡時期」は37条書面のみの必要的記載事項!

これらのポイントをしっかり押さえて、35条書面と37条書面を完璧に区別できるようになりましょう!

AYUMI
AYUMI

これで契約書のルールもバッチリですね! 35条書面との違いを意識しながら復習すれば、きっと得意分野になりますよ! 試験まであと少し、頑張ってください!

この記事を書いた人
AYUMI

大学卒業後、2007年大手不動産企業に入社、2009年宅建士試験に合格(合格証明番号:09130433)。
営業業務を経て、広報担当として広報誌業務に従事。累計300人以上の不動産経営者、営業スタッフに取材執筆を実施。
家族は両親と姉。趣味は映画鑑賞、スポーツ観戦ほか。

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