不動産屋さんの営業活動って、事務所の中だけで完結するわけじゃないんですよね。ピカピカの新築マンションのモデルルームとか、広い分譲地の現地販売センターとか、皆さんも見たことありますよね?
ああいう場所って、宅建業法では「案内所」っていう扱いになることがあるんです。そして、この「案内所」、事務所とはまた違ったルールがあるんですよ〜。
「事務所と何が違うの?」「どんな時に届け出が必要なの?」って、ちょっとわかりにくいですよね。
大丈夫です!この記事を読めば、案内所の定義から、事務所との違い、そして超重要な届出のルールまで、ばっちり理解できちゃいます!

さあ、今回も一緒に宅建業法の知識を深めていきましょう!ややこしいルールも、一つ一つ丁寧に見ていけば怖くないですからね!レッツゴー!
モデルルームや販売センター!「案内所」ってどんな場所?
まずは、「案内所」って具体的にどういう場所のことを指すのか、しっかり定義を押さえましょう!
事務所だけじゃない!宅建業のもう一つの拠点
宅建業者の営業活動は、前回お話しした「事務所」(本店や支店)がメインの拠点になります。
でも、例えば大規模なマンション開発や宅地分譲を行う場合、お客さんにもっと物件の魅力を知ってもらうために、現地の近くやアクセスの良い場所に、臨時の営業拠点を設けることがありますよね。
- 新築マンションのモデルルーム
- 一団の宅地分譲地に設置された現地販売センター
- 特定の物件を紹介するための展示会場

こういった、事務所とは別の場所で、宅建業に関する案内や営業活動を行う施設が、宅建業法上の「案内所」に該当する可能性があるんです。
イメージとしては、事務所が「本社」や「支社」だとしたら、案内所は「期間限定の特設会場」や「サテライトオフィス」みたいな感じです。

あくまでメインは事務所だけど、特定の目的のために一時的(または継続的)に設けられる営業拠点、というわけです。
事務所と案内所の備え付け義務を徹底比較
さあ、案内所の定義がわかったところで、次は「事務所」と何が違うのか、特に備え付けなければいけないものの違いを見ていきましょう!
事務所には5つの備え付け義務(①専任宅建士、②標識、③報酬額、④帳簿、⑤従業員名簿)がありました。それに対して、案内所のルールは、事務所に比べてかなりシンプルなんです!
基本は「標識」だけ!案内所のシンプルなルール
原則として、案内所に義務付けられている備え付け義務は、「標識の掲示」だけなんです!
事務所と同じように、公衆の見やすい場所に、国土交通省令で定められた様式の標識を掲示する必要があります。 「私たちはこういう業者で、ここで案内業務をしていますよ」と示すためですね。
案内所に掲示する標識には、事務所の標識に記載されている事項に加えて、その場所が案内所である旨や、業務を行える期間(期間限定の場合)、業務の種別(販売・交換・媒介など)、専任の宅建士の氏名(設置義務がある場合)などを記載することが求められます。
契約や申込みをする案内所は「専任の宅建士」が必要
ただし!ここからが超重要です! すべての案内所で標識だけでOKというわけではありません。
その案内所で、契約の締結や、契約の申込みを受ける業務を行う場合は、成年者である専任の宅建士を1人以上置かなければならない、という例外ルールがあるんです!
- 契約や申込みを受け付けない案内所: 専任の宅建士は不要。標識の掲示のみ。
- 例:物件の展示や説明、資料配布のみを行うモデルルームなど。
- 契約や申込みを受け付ける案内所: 専任の宅建士が1人以上必要。標識の掲示も必要。
- 例:モデルルーム内で購入申込みの手続きができる場合、現地販売センターで直接契約ができる場合など。

事務所の場合は「業務従事者5人に1人以上」という設置基準がありましたが、案内所の場合は、契約や申込みを受ける場合でも「1人以上」でOKです。
事務所にあるアレやコレは…案内所には不要?
じゃあ、事務所には必要だった残りの3つ(報酬額の掲示、帳簿、従業員名簿)はどうなるんでしょう?
答えは…原則として不要です!
- 報酬額の掲示: 案内所では不要。
- 帳簿の備え付け・保存: 案内所では不要。(取引の記録は事務所の帳簿に記載します)
- 従業員名簿の備え付け・保存: 案内所では不要。(従業員の情報は事務所の名簿で管理します)

案内所は、あくまで事務所の補完的な役割だったり、特定の目的のための拠点だったりすることが多いので、事務所ほど厳格な備え付け義務は課されていないんですね。
事務所と案内所の備え付け義務比較表
備え付け義務 | 事務所 | 案内所(契約・申込なし) | 案内所(契約・申込あり) |
---|---|---|---|
成年者の専任宅建士 | 必要 (5人に1人以上) | 不要 | 必要 (1人以上) |
標識の掲示 | 必要 | 必要 | 必要 |
報酬額の掲示 | 必要 | 不要 | 不要 |
帳簿の備え付け・保存 | 必要 | 不要 | 不要 |
従業員名簿の備え付け | 必要 | 不要 | 不要 |
案内所の「届出義務」
さて、案内所に関する最後の重要ポイント、「届出義務」についてです!これも試験で本当によく問われますから、絶対に押さえてくださいね!
すべての案内所で届出が必要なわけではありません。届出が必要になるのは、特定の案内所を設置する場合です。
どんな案内所が届出対象?「契約・申込み」がキーワード!
届出が必要となるのは、先ほど専任の宅建士の設置義務のところでも出てきた、「契約の締結」または「契約の申込みを受ける」業務を行う案内所です。
つまり、単に物件を展示したり、説明したりするだけの案内所(モデルルームなど)であれば、届出は不要です。 しかし、その案内所で購入の申込みを受け付けたり、契約手続きを行ったりする場合は、必ず事前に届出が必要になります。
- 届出が不要な案内所: 契約・申込みの受付をしない案内所
- 届出が必要な案内所: 契約・申込みの受付をする案内所
いつまでに、どこに届け出る?「10日前」「2か所」を覚えよう!
じゃあ、届出が必要な案内所を設置する場合、いつまでに、どこに届け出ればいいのでしょうか?これもルールが決まっています。
- いつまでに? → 業務を開始しようとする日の10日前までに!
- どこに? → 次の2か所に届け出る必要があります!
- 免許権者(国土交通大臣 または 都道府県知事)
- 案内所の所在地を管轄する都道府県知事

免許を与えた行政庁(免許権者)と、実際に営業活動が行われる場所を管轄する行政庁(案内所所在地の知事)の両方が、その案内所の設置状況を把握して、適切に監督できるようにするためなんです。
まとめ
今回は、宅建業の「案内所」について、その定義、事務所との違い、そして重要な届出義務まで、一気に解説しました!
- 案内所とは?
- 事務所とは別の営業拠点(モデルルーム、販売センター、展示会場など)
- 宅建業法上の5つのケースに該当する場合
- 事務所との違い(備え付け義務)
- 標識: 案内所も必要
- 専任宅建士: 契約・申込みを受ける案内所のみ1人以上必要(それ以外は不要)
- 報酬額・帳簿・従業員名簿: 案内所では原則不要
- 案内所の届出義務
- 対象: 契約・申込みを受ける案内所
- 時期: 業務開始日の10日前まで
- 届出先: 免許権者 と 案内所所在地の知事 の 2か所!

専任宅建士の設置基準の違い(5人に1人 vs 1人以上)や、届出の要否、届出先などは、混同しやすいポイントなので、何度も見返して完璧にマスターしてくださいね!