今回は、建物を借りる権利「借家権(しゃっかけん)」についてです!アパートやマンション、店舗などを借りる際のルールですね。普段の生活に密着しているだけに、「だいたい分かってるよ~」と思いがちですが、いざ試験となると、「あれ?この場合の契約期間ってどうなるんだっけ?」「大家さんから更新しないって言われたけど、従うしかないの?」「家賃、最近の相場より高い気がする…」など、細かいルールで迷ってしまうこと、ありませんか?
特に、契約が自動的に更新される「普通建物賃貸借(普通借家)」と、更新がなく期間満了で必ず契約が終わる「定期建物賃貸借(定期借家)」の違いは、宅建試験では頻出の重要ポイントです!それぞれの契約期間、更新や終了の仕方、家賃の変更ルール、途中で解約できるかなど、違いをしっかり理解できていますか?
この記事では、そんな「借家権(建物賃貸借)」について、借地借家法が定めるルールを中心に、普通借家の存続期間や更新・終了の仕組み、借りた権利を主張するための対抗力、家賃の増減額請求、借り主が亡くなった場合の借家権の承継、又貸し(転貸)のルール、そして意外と知らないかもしれない造作買取請求権などを詳しく解説します。さらに、近年増えている定期借家についても、普通借家との違いを比較しながら、契約方法や注意点などを徹底的に見ていきます!

この記事を読めば普通借家と定期借家の明確な違い、更新拒絶に必要な「正当事由」の考え方、賃料に関する特約の有効性、造作買取請求権のポイントなど、試験で狙われやすい知識を確実に身につけることができます。
<この記事でわかること>
- 借家権(建物賃貸借)の基本と借地借家法による保護
- 借家権を第三者に対抗するための要件(建物の引渡し)
- 普通借家の存続期間、更新(合意・法定)、終了のルールと「正当事由」
- 賃料増減額請求権のルールと特約の有効性(普通借家と定期借家の違い)
- 借家権の承継(相続人がいない場合)や転貸(又貸し)のルール
- 賃借人の権利「造作買取請求権」の内容と注意点
- 更新がない「定期借家」の契約方法、期間、中途解約などの特徴
普通建物賃貸借(借家権)の基本ルール:期間・更新・対抗力
まずは、一般的な建物の賃貸借契約である「普通建物賃貸借」(普通借家契約とも言います)の基本的なルールから見ていきましょう。借地借家法の適用を受ける、更新があるタイプの契約です。
借家権とは?建物を借りる権利の基本
借家権とは、文字通り「建物を借りる権利」、つまり建物の賃借権のことです。アパートやマンション、店舗、事務所などを借りる契約がこれにあたります。
ただし、借地借家法が適用されるのは、居住や事業など、ある程度の期間継続して使用することが前提となる賃貸借です。ホテルの宿泊契約のような一時的な使用が明らかな場合や、無償で借りる使用貸借には、借地借家法の借家に関する規定は適用されません。
契約期間はどうなる?存続期間のルール
普通建物賃貸借の契約期間(存続期間)については、借地権ほど厳しいルールはありません。
- 期間設定の自由: 契約で存続期間を定める場合、その長さに上限も下限もありません。2年でも5年でも、当事者が合意すれば自由に設定できます。
- 1年未満の定め: ただし、契約期間を1年未満(例えば6ヶ月)と定めた場合は、期間の定めのない建物賃貸借とみなされます(借地借家法 第29条1項)。これは、あまりに短い期間だと借り主の居住の安定が害されるためです。
- 期間の定めがない契約: もちろん、最初から期間を定めずに契約することも有効です。
借地権の最低期間が30年だったのと比べると、借家権の期間ルールはかなり緩やかですね。でも、1年未満の定めが無効になる点はしっかり押さえておきましょう。
大家さんが変わっても大丈夫?借家権の対抗力
借りているアパートのオーナーが変わった場合、新しいオーナーに「出ていけ!」と言われないか心配になりますよね。ここで重要になるのが対抗力です。
借家権も、原則としては「登記」(建物賃借権の登記)があれば第三者に対抗できます(民法605条)。しかし、これも借地権と同様、登記に大家さんの協力が必要で、現実にはほとんど行われません。
そこで、借地借家法はここでも賃借人を保護する特則を設けています!
【借家権の対抗要件(借地借家法 第31条1項)】
建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。
つまり、建物の賃借権(借家権)は、実際にその建物の引渡しを受けて住んだり、使用したりしていれば、登記がなくても、後から建物の所有者になった人(新しいオーナーなど)に対して「私は借りる権利がある!」と対抗できるのです!
借地権の対抗要件が「借地権者名義の建物登記」だったのに対し、借家権はもっとシンプルに「建物の引渡し」だけでOK!これは絶対に覚えてくださいね!鍵をもらって入居すれば、もう安心です。
契約はいつまで続く?更新と終了のルール
普通建物賃貸借は、原則として契約が更新されるのが特徴です。どのように更新され、また、どのような場合に終了するのでしょうか?
(1) 期間の定めがある場合
- 更新しない場合(更新拒絶):
- 契約期間満了で契約を終了させたい場合、当事者は、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、相手方に対して「更新しませんよ」という通知をする必要があります(借地借家法 第26条1項)。
- ただし、賃貸人(大家さん)からこの更新拒絶の通知をするには、「正当な事由」が必要になります(借地借家法 第28条)。正当事由の内容は、借地権の場合と同様に、自己使用の必要性や立退料の提供などを考慮して判断されます。
- 一方、賃借人(借り主)から「更新しません」と通知する場合には、正当事由は不要です。
- 更新される場合(法定更新):
- 上記の期間内に、当事者のどちらからも更新拒絶の通知がなかった場合、または、更新条件を変更しないと更新しない旨の通知をしても協議が調わなかった場合、期間満了時に、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます(借地借家法 第26条1項、2項)。
- ただし、更新後の契約期間については、従前と同じ期間になるのではなく、「期間の定めのない」ものとなります。
- 使用継続による法定更新:
- たとえ賃貸人が適法に更新拒絶の通知をしたとしても、期間満了後、賃借人が建物の使用を継続している場合に、賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときは、やはり法定更新したものとみなされます(借地借家法 第26条3項)。
- この賃貸人の異議についても、「正当な事由」が必要です(借地借家法 第28条)。
- <注意> 提供された資料の一部に「異議に正当事由不要」とありましたが、判例・通説では、使用継続に対する異議にも正当事由が必要と解釈されています。試験対策上も「正当事由が必要」と覚えてください。
(2) 期間の定めがない場合
- 解約の申入れ: 期間の定めがないので、更新という概念はありません。契約を終了させたい場合は、当事者はいつでも相手方に解約の申入れをすることができます(借地借家法 第27条1項)。
- 正当事由: この場合も、賃貸人(大家さん)から解約を申し入れるには、「正当な事由」が必要です(借地借家法 第28条)。賃借人(借り主)から申し入れる場合は、正当事由は不要です。
- 契約終了までの期間: 解約申入れがあってから契約が終了するまでの期間は、申し入れた側によって異なります。
- 賃貸人からの申入れの場合:申入れの日から6ヶ月後に終了。
- 賃借人からの申入れの場合:申入れの日から3ヶ月後に終了。
(3) 建物滅失による終了
- 地震や火災などで建物自体が滅失してしまい、使用できなくなった場合は、賃貸借契約はその時点で当然に終了します。特別な手続きは不要です。(民法616条の2類推など)
- <比較> 借地契約の場合、建物が滅失しても土地は残っているので、借地契約は当然には終了しませんでしたね。この違いもポイントです。

賃貸人(大家さん)が契約を終わらせるには、必ず「正当事由」が必要なんですね。借り主保護が徹底されています。
借主と貸主の権利と義務:賃料・承継・転貸・買取請求権
次に、家賃(賃料)の変更や、借り主が亡くなった場合、又貸し(転貸)のルール、そして借り主のちょっと特殊な権利「造作買取請求権」などを見ていきましょう。
家賃が高すぎる!安くして!【建物賃料増減額請求権】
経済状況の変化(物価や地価の変動、税金の増減など)によって、契約当初に定めた家賃(賃料)が、現在の状況から見て不相当(高すぎたり安すぎたり)になった場合、貸主・借主のどちらからでも、将来に向かって賃料の増額または減額を請求することができます(借地借家法 第32条1項)。これを賃料増減額請求権といいます。
- 増減額しない特約の効力:
- 普通建物賃貸借の場合:
- 「一定期間は増額しない」という特約は有効です。その期間中は、貸主は増額請求できません。
- 「一定期間は減額しない」という特約は、賃借人に一方的に不利になるため無効です。したがって、この特約があっても、賃借人は減額請求ができます。
- 定期建物賃貸借の場合(後述):
- 「増額しない」特約も「減額しない」特約も、どちらも有効です(借地借家法 第38条7項)。普通借家との大きな違いなので注意!
- 普通建物賃貸借の場合:
- 協議が調わない場合:
- 増額・減額について当事者間で話し合いがまとまらない場合、最終的には裁判で決着をつけることになります。
- 裁判で結論が出るまでは:
- 貸主が増額請求した場合:借主は、自分が相当と思う額(通常は従来の賃料)を支払っていれば、債務不履行にはなりません。
- 借主が減額請求した場合:貸主は、自分が相当と思う額(通常は従来の賃料)の支払いを請求できます。
- 裁判で賃料額が確定した後:それまでに支払われた額との差額に、年1割の利息を付けて精算しなければなりません(借地借家法 第32条2項、3項)。
借り主が亡くなったらどうなる?【借家権の承継】
賃借人が亡くなった場合、借家権(建物を借りる権利)も相続財産として、通常は相続人に引き継がれます。では、相続人が一人もいない場合はどうなるのでしょうか?
居住用の建物に限って、特別なルールがあります(借地借家法 第36条)。
亡くなった賃借人と、事実上の夫婦関係にあった人(内縁関係)や、事実上の養親子関係にあった人など、生前同居していた特別の縁故があった人(特別縁故者)は、賃借人が相続人なしに死亡した場合、その賃借人の権利義務(借家権を含む)を承継することができます。
ただし、この特別縁故者が、賃借人の死亡を知った後1ヶ月以内に、賃貸人に対して「私は承継しません(ここに住みません)」という反対の意思表示をしたときは、承継しません。
相続人がいない場合に、一緒に住んでいた内縁の妻などが路頭に迷わないように保護するための規定ですね。
又貸し(転貸)はできる?無断でしたらどうなる?
建物の賃借人が、その借りている建物をさらに第三者に貸すこと(転貸、又貸し)は、原則として賃貸人(大元の大家さん)の承諾が必要です(民法612条)。
無断で転貸した場合、賃貸人は契約を解除できますが、ここでも「信頼関係破壊の法理」が適用されます。つまり、無断転貸が賃貸人に対する背信的行為と認められない特段の事情がある場合には、賃貸人は解除できません(判例)。例えば、短期間だけ知人に留守番を頼んで使わせる程度なら、解除は認められにくいでしょう。
借地権の場合、地主が不当に承諾を拒否したときに「裁判所の許可」を得る制度がありましたが、借家権(建物賃貸借)には、このような裁判所の許可制度はありません。
- 賃料の直接請求: 転貸借が行われている場合、もし元の賃借人(転貸人)が賃貸人に対して賃料を支払わなかったときは、賃貸人は転借人に対して、「あなたの払うべき家賃を、元の賃借人の家賃の範囲内で私に直接支払ってください」と請求できます(民法613条)。
- 原賃貸借終了と転貸借の関係:
- 元の賃貸借契約が、期間満了や解約申入れによって終了する場合、転貸借契約はすぐには終了しません。賃貸人が転借人にその旨を通知し、通知後6ヶ月が経過したときに終了します(借地借家法 第34条)。
- 元の賃貸借契約が、賃貸人と賃借人の合意によって解除された場合、その解除の効果を転借人に対抗することはできません。つまり、転借人は保護され、引き続き使用できます。
- 元の賃貸借契約が、賃借人の債務不履行(家賃滞納など)によって解除された場合、転貸借契約も原則として終了します。判例では、賃貸人は元の賃借人に催告すれば足り、転借人に事前に弁済の機会を与える必要はないとされています。賃貸人が転借人に建物の返還を請求した時に転貸借も終了すると考えられます。
自分で付けたエアコン、買い取ってもらえる?【造作買取請求権】
賃借人が、賃貸人の同意を得て建物に付加した造作(ぞうさく)については、賃貸借が終了する際に、賃貸人に対して時価で買い取るように請求できる権利があります(借地借家法 第33条)。これを造作買取請求権といいます。
- 造作とは?: 建物に付加されたもので、賃借人の所有に属し、かつ、建物の使用に客観的な便益を与えるもの。取り外しが可能であることが多いです。例としては、賃貸人の同意を得て設置した畳、建具(ふすま、障子など)、エアコンなどが挙げられます。
- 建物買取請求権との違い: 借地権の終了時に地主に「建物」の買取を請求する権利とは異なります。借家権の場合は「造作」が対象です。
- 同意が必要: 賃貸人の同意を得て付加した造作に限られます。勝手に付けたものは対象外です。
- 同時履行の抗弁権は主張できない: 賃貸人が造作代金を支払ってくれないことを理由に、賃借人が建物の明渡しを拒むこと(同時履行の抗弁権を主張すること)はできません(判例)。理由は、明渡し遅延による賃貸人の損害(賃料相当額など)の方が、造作代金よりも大きいことが多いからです。
- 排除特約は有効: この造作買取請求権は、当事者間の特約で「買い取りませんよ」と排除することが可能です。借地借家法の中でも、当事者の合意を優先する「任意規定」とされています(借地借家法 第37条)。
建物にペンキを塗ったり、壁紙を張り替えたりする費用は、原則として「有益費」の問題となり、造作買取請求の対象ではありません。有益費は賃貸人の同意が不要で、排除特約も原則無効ですが、請求できるのは契約終了時で、賃貸人が支出額か増加額かを選択できる、という違いがありましたね。
(復習)必要費と有益費の請求
賃貸借一般のルールとして、費用の償還請求についても確認しておきましょう。
- 必要費: 雨漏り修理代など、建物の維持保存に必要な費用。支出後直ちに全額請求可能。
- 有益費: トイレの洋式化など、建物の価値を高める費用。契約終了時に価値増加が現存する場合、支出額or増加額を賃貸人の選択で請求可能。
(補足)借地上建物の賃借人保護
もし、借りている建物が、さらに借地上に建っている場合(つまり、大家さんが地主さんから土地を借りて建物を建て、その建物をあなたが借りている場合)、元の土地の借地契約が終わってしまったら、建物の賃借人はどうなるのでしょうか?
この場合、原則として建物賃貸借も終了してしまいますが、建物賃借人が借地権の終了を1年前までに知らなかった場合などには、裁判所に申し立てることで、土地の明け渡しに最大1年間の猶予を与えてもらえる制度があります(借地借家法 第35条)。
更新がない!?定期建物賃貸借(定期借家権)とは?
最後に、近年利用が増えている「定期建物賃貸借」(定期借家権)について見ていきましょう。これは、普通借家とは異なり、契約の更新がないことが最大の特徴です。
定期借家権のキホン:期間満了で必ず終了する契約
定期建物賃貸借とは、契約の更新がなく、定められた期間が満了すれば、契約が確定的に終了するタイプの建物賃貸借契約です(借地借家法 第38条)。
これは、「一度貸したらなかなか返してもらえない」という普通借家のルールを懸念する貸主側が、より安心して物件を貸し出せるように、また、転勤の間だけ貸したいといった期間限定のニーズに応えるために創設された制度です。
普通借家とここが違う!定期借家の重要ポイント
定期借家契約は、普通借家契約と比べて、契約の方式や効力に重要な違いがあります。
- 契約方法(超重要!):
- 定期借家契約とするためには、必ず「公正証書等の書面」によって契約しなければなりません。口頭では普通借家契約になってしまいます。
- さらに、賃貸人は、契約を結ぶ前に、賃借人に対して「この契約は更新がなく、期間満了で終了しますよ」という旨を記載した書面を別途交付して、説明しなければなりません。
- もし、この事前の書面交付・説明を怠った場合、たとえ契約書に「更新しない」と書いてあっても、その定めは無効となり、普通借家契約として扱われます。
- <重要> 契約書とは別に、「事前説明書面」の交付と説明が必要!これが定期借家契約成立のための非常に厳しい要件です。
- 存続期間:
- 期間の長さに制限はありません。
- 普通借家と異なり、1年未満の期間を定めても有効です。「期間の定めのない契約」とはみなされません。
- 契約の更新・終了:
- 更新は一切ありません。期間が満了すれば契約は確定的に終了します。法定更新もありません。
- もし期間満了後も引き続き住みたい場合は、当事者が合意して「再契約」をすることになります。
- 終了通知: 期間が1年以上の場合、賃貸人は、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、賃借人に対して「期間満了で契約が終わりますよ」という通知をする必要があります。この通知をしないと、期間満了による契約終了を賃借人に対抗できません。通知が遅れた場合は、通知した日から6ヶ月間は対抗できません。
- 中途解約:
- 原則として、契約期間中の中途解約はできません。ただし、契約で中途解約できる旨の特約があれば可能です。
- 例外:床面積が200㎡未満の居住用建物について、転勤、療養、親族の介護など、やむを得ない事情により生活の本拠としての使用が困難となった場合は、賃借人から解約の申入れをすることができます。この申入れから1ヶ月が経過すると契約は終了します。
- 賃料増減額請求の特約:
- 普通借家では無効とされた「減額しない」旨の特約も、定期借家では有効となります。「増額しない」特約ももちろん有効です。
- 造作買取請求権:
- 定期借家契約には、造作買取請求権の規定(借地借家法33条)は適用されません。したがって、特約がない限り、賃借人は造作買取請求をすることができません。
<普通借家と定期借家の比較表>
項目 | 普通建物賃貸借(普通借家) | 定期建物賃貸借(定期借家) |
契約方式 | 口頭でも可 | 公正証書等の書面 + 事前書面説明 |
期間(1年未満) | 期間の定めなしとみなす | 有効 |
更新 | あり(法定更新あり) | なし |
賃貸人の更新拒絶/解約 | 正当事由が必要 | 不要(ただし終了通知は必要) |
中途解約(賃借人から) | 原則不可(特約あれば可) | 原則不可(特約あれば可)。 居住用・200㎡未満・やむを得ない事情なら可 |
賃料「減額しない」特約 | 無効 | 有効 |
造作買取請求権 | あり(排除特約なければ) | なし(適用除外) |

定期借家は、更新がない代わりに契約方法が厳格だったり、中途解約のルールがあったり、普通借家とはかなり違いますね。しっかり区別して覚えましょう!
まとめ
お疲れ様でした!今回は、借地借家法の「借家権(建物賃貸借)」について、普通借家と定期借家の両方を含めて、その重要ルールを網羅的に解説しました。
建物の賃貸借は、私たちの生活に非常に身近な契約ですが、借地借家法によって、民法の原則が様々に修正されています。対抗力、期間、更新、終了、賃料、承継、転貸、造作買取請求権など、覚えるべきポイントは多いですが、それぞれの制度趣旨や、普通借家と定期借家の違いを意識することで、理解が深まるはずです。
- 借家権の対抗要件は「建物の引渡し」(借地借家法31条)。
- 普通借家:1年未満の期間は期間定めなしに。更新あり(法定更新含む)。賃貸人からの更新拒絶・解約申入れには正当事油が必要。賃料の「減額しない」特約は無効。相続人なき場合特別縁故者が承継可。同意ある造作買取請求権あり(排除特約可)。
- 定期借家:更新なし。契約は公正証書等の書面+事前書面説明が必須。1年未満の期間も有効。賃借人からの中途解約が認められる場合あり。賃料の「減額しない」特約も有効。造作買取請求権は適用なし。
- 転貸(又貸し):原則賃貸人の承諾が必要だが、無断でも信頼関係破壊なければ解除不可の場合あり。
- 必要費は直ちに、有益費は終了時に請求可能。

これらの知識を確実に身につけ、権利関係の得点アップに繋げてくださいね!難しい分野も一つ一つクリアしていけば、合格はもう目の前です!頑張っていきましょう!